秋の夜なべ ver.2【折り紙】
むかしむかし、あるところに、狐のお母さんと二匹の子ぎつねが住んでいたそうな
今夜は十五夜
鶏屋のある向こう山に月が上った
お母さん狐は、縁側の月見団子を盛った三宝の横に、薄を活けた花瓶を並べて
奥で歌留多取りをしている子どもたちに
「さあ、お前たちもお月さまにお願いしなさい
今年も五平さんの畑のさつまいもと枝豆がうんととれますように」
子どもたちは出てきて、揃って小さな手を合わせてお月さまにあたまを下げる
やがて、お母さん狐はちゃぶ台の前へ座って夜なべを始めた
来年は、お姉ちゃんのきっこちゃんが小学校に入学する
だから、お月さまに供えた野の草を貼って、写真立てを作るのだ
赤いランドセルを背負ったきっこちゃんの写真を飾ってあげよう
そうしたらお月さまは、きっこちゃんが小学校の帰り道で猟師の犬に追っ掛けられたりしないように守ってくれるに違いない
庭では風が出て、カサコソカサコソ葉っぱの音がしている
ごっとん、と大きな音がして縁側に柿の実が落ちた
いつの間にか、月は遥か上の方から狐の家を照らしている
足付きの三宝
だんご(紙風船)
さつまいも
枝豆(紙風船)
キツネ
ランドセル
もみじ
柿